主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜

俺は笑った。
からかうような口調で、余裕ぶって。
けど、心の底では自分に問うていた。

――今の俺は、彼女の隣に立てる人間か?

違う。
本来の“俺”は、おそらく人を導く光みたいな存在だった。
けど今の俺はどうだ?
軽薄で、ずるくて、言葉の裏に探りを忍ばせるような男だ。

でも。

「どんな世界でも、お前の隣に立つのは俺だ」

そう口に出すことで、自分に言い聞かせているのかもしれない。

ラティがこちらを見る。
不思議そうに、けれど拒絶せず、静かに。

「たとえ俺が変わってしまっても、お前を守る。……そのくらいの意地はある」

そう言いながら、自分の心にしつこく残る違和感に、苛立ちが湧いた。

書き換えられる前の“俺”なら、迷わず彼女に手を伸ばせただろう。
きっとラティも、疑うことなくその手を取った。

でも――

「……違ぇんだよな。今の俺じゃ、本来の“俺”には敵わねぇ」

誰にも聞こえないように呟いた言葉が、夜の静けさに吸い込まれていく。

それでも、俺は笑っていた。

あの場所に戻れなくても。
“今の俺”がラティの隣に立つために、俺はこの書き換えられた世界をぶっ壊してやる。

たとえ、選ばれなくても――選ばせてみせる。