主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜

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月の光が、色あせたステンドグラスを通して落ちている。
廃強会の床に伸びた光は、まるで過去の残滓のようだった。

ラティは、黙ってそれを見つめている。

神聖力も、血筋も、世界の命運さえも背負わされた少女――いや、違う。
この世界が書き換えられる前から、きっと彼女は、そういう宿命の中にいた。

けど、俺には見えていた。
その瞳の奥に、誰にも頼らずに立とうとする、意地と痛み。

「なあ、ラティ」

俺は壁に背を預けたまま、いつものように軽く声をかける。

「……なんですか?」
「たとえば――もし、お前が誰かと結ばれる運命だったとしたら、そいつは“俺”だったと思わないか?」

問いに対する反応は、わずかな沈黙だった。
ラティは何かを探すように、目を伏せる。

「……本来の物語の話ですよね?ハルモニアから聞いたことがあります。本来の貴方は――まるで“理想の王子様”だったと」

“本来の頃の俺”。
そう、ラティが信じてるのは、書き換えられる前の俺だ。

「お前にとっての“ユーリ”は、そいつなのか」
「……いいえ。今の貴方を見て、私は判断します。だから、こうしてここに来てる」
「ふーん……」