廃教会の古びたステンドグラスに、月の光が射していた。
色の抜けた光が床に落ち、剥げかけた石に淡く広がっている。
埃をかぶった長椅子に腰を下ろし、私は小さく息を吐いた。
エクエスには少し距離をとってもらい、ユーリはすぐ隣の柱にもたれている。
ふてぶてしいようで、どこか探るような眼差しをこちらに向けていた。
「……で、さっそく本題に入るか。それとも、まだあの子犬の扱い方でも議論するか?」
「本題に入りましょう。夜も更けてきましたし」
「それもそうだな」
軽く肩をすくめたユーリが、淡々と確認するように言葉を重ねる。
「まず確認だが――お前は回帰前、処刑されるまでアドラティオ王宮の離宮に閉じ込められてた。
それまでの世界の情勢は、ほとんど知らない。合ってるな?」
「……そうです」
「じゃあ、そこからだな」
ユーリは遠くを見るように目を細め、かすかに息を吐いた。
「回帰前も、お前の母親――第三王妃は国王に処刑された。
理由は、お前の誕生日を祝うために、テネブラエから弟たち王族を招こうとして連絡を取ったことだ」
「お母様が……」
母が叔父様と連絡を取った理由――わからなかった。
けれどそれが今、ユーリの口から語られた。
私のためだった。
私のために、お母様は禁じられた接触を選び、そして処刑された――。
色の抜けた光が床に落ち、剥げかけた石に淡く広がっている。
埃をかぶった長椅子に腰を下ろし、私は小さく息を吐いた。
エクエスには少し距離をとってもらい、ユーリはすぐ隣の柱にもたれている。
ふてぶてしいようで、どこか探るような眼差しをこちらに向けていた。
「……で、さっそく本題に入るか。それとも、まだあの子犬の扱い方でも議論するか?」
「本題に入りましょう。夜も更けてきましたし」
「それもそうだな」
軽く肩をすくめたユーリが、淡々と確認するように言葉を重ねる。
「まず確認だが――お前は回帰前、処刑されるまでアドラティオ王宮の離宮に閉じ込められてた。
それまでの世界の情勢は、ほとんど知らない。合ってるな?」
「……そうです」
「じゃあ、そこからだな」
ユーリは遠くを見るように目を細め、かすかに息を吐いた。
「回帰前も、お前の母親――第三王妃は国王に処刑された。
理由は、お前の誕生日を祝うために、テネブラエから弟たち王族を招こうとして連絡を取ったことだ」
「お母様が……」
母が叔父様と連絡を取った理由――わからなかった。
けれどそれが今、ユーリの口から語られた。
私のためだった。
私のために、お母様は禁じられた接触を選び、そして処刑された――。

