主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜

「約束の時間、五分遅れ。……でもまあ、そこそこ面白いもの見せてもらったから帳消しにしといてやる」
「ユーリ」
「で、そいつ。どうするんだ?今“俺を騎士にしてくれ”とか言ってたけど」
「私が名前を与えて騎士に誘ったんです」
「……はあ?お前本気か?捨て犬拾って“うちの子”ですってか。お人好しにも程があるだろ」

ユーリが肩をすくめながらエクエスを値踏みするように見つめると、少年は一歩、私の前に出た。
視線は、まっすぐユーリへ。

「お前、何様のつもりだよ」
「……ん?」
「その気怠い顔、気取った言い回し、馴れ馴れしいんだよ、全部」

ユーリの目が細くなる。

「……なかなか口の立つ子犬だな。名前は?」
「エクエス。この人に貰った名前だ。お前みたいな胡散臭いやつより、ずっとましな“牙”を持ってる」
「へえ……?」

ユーリは唇の端を吊り上げたが、その目はまったく笑っていなかった。
静かな怒気が、場を一瞬で冷やす。

「……なあ、ラティ」
「なんですか?」
「元の場所に返してこい。今すぐに」
「……」
「いや、さっきまで名前もなかった奴が、一瞬で反抗期ってどういうことだよ。教育の大事さを俺は今ひしひしと実感してる」

その言葉に、くすっと小さく笑った。