主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜

「はい!ややこしいのです!それでも頑張って着いてきて欲しいのです!そうだ、ラエティティア様は物語をお読みになりますか?小説とか絵本とか!」
「はい……よく読む方ではありますが」
「ではこの世界がそういった物語の中だとイメージしてもらえれば分かりやすいかもしれないのです!」

そこまで説明されて私はやっと納得がいったような気がした。実感こそ湧かないが、辛うじて理解は出来る。

私がハルモニアの言葉に頷けば、彼は嬉しそうに翼を動かし、丸い宝石のような目を輝かせる。

「良かったなのです!では本題に入るのですが、この世界は本来貴方様……ラエティティア様の為の世界なのです」
「私の?」
「そうなのです。創造主様が創った書物、そしてその主人公。それが、貴方様なのです!あ、人は皆自分の人生の主人公だ!とかそういう話は今はしてないのです!」
「私は何も言ってません……」

ハルモニアによると、創造主様が書いた書物の主人公が私らしいのだが、物語は基本的に主人公のハッピーエンドで幕を閉じる。それならば何故私はあんな結末を迎えたのだろうか。