だから、助けたかった。存在を、認めてあげたかった。
この世界で、生きていていいと。
「この世界で生きるために、貴方に足りないのは――名前と、誇りだけ。
なら、どちらも私があげる。貴方の名前は――“エクエス”」
「エクエス……?」
「古代語で“騎士”。弱きを守る者、力に責任を持つ者の名よ」
その言葉が胸に落ちた瞬間、エクエスの目が大きく揺れた。
手の温かさ。名を与えられた事実。それは、彼の中の何かを一変させた。
「お前は……なんなんだよ……」
「私は――ラエティティア。
貴方の主であり、仲間であり、そしてこれから、貴方が誇りにしていい“誰か”になる者よ」
エクエスは泣かなかった。
けれど、唇を噛みしめ、何かを抱きしめるように、小さく頷いた。
「……騎士になんて、なれるのか……俺が……」
「もう、なっているわ。あの一瞬、私を守った時から。貴方は立派な騎士だった」
まだ迷いを滲ませるエクエスの頭を、私はそっと撫でた。
「答えは今すぐじゃなくていい。……もし、騎士になる決意ができたら、王宮に来てね」
そう言って、私はローブを翻し、待ち合わせの場所へと歩き出した。
この世界で、生きていていいと。
「この世界で生きるために、貴方に足りないのは――名前と、誇りだけ。
なら、どちらも私があげる。貴方の名前は――“エクエス”」
「エクエス……?」
「古代語で“騎士”。弱きを守る者、力に責任を持つ者の名よ」
その言葉が胸に落ちた瞬間、エクエスの目が大きく揺れた。
手の温かさ。名を与えられた事実。それは、彼の中の何かを一変させた。
「お前は……なんなんだよ……」
「私は――ラエティティア。
貴方の主であり、仲間であり、そしてこれから、貴方が誇りにしていい“誰か”になる者よ」
エクエスは泣かなかった。
けれど、唇を噛みしめ、何かを抱きしめるように、小さく頷いた。
「……騎士になんて、なれるのか……俺が……」
「もう、なっているわ。あの一瞬、私を守った時から。貴方は立派な騎士だった」
まだ迷いを滲ませるエクエスの頭を、私はそっと撫でた。
「答えは今すぐじゃなくていい。……もし、騎士になる決意ができたら、王宮に来てね」
そう言って、私はローブを翻し、待ち合わせの場所へと歩き出した。

