主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜

それは、俺の精一杯の“頼み”だった。

父親にも、誰にも信じてもらえなかった。書き換えられた俺はただの“使い捨ての王子”。

けど、この世界にたった一人でもいい。“一緒に戦ってくれるやつ”が欲しかった。

そして――

「ええ。貴方がそれを望むなら、私は貴方の味方でいます」

その言葉に、胸が少しだけ熱くなった。

(……やっぱ、お前が主人公なんだろうな)

あの変な神獣ハルモニアが言ってた通りだ。
そして、きっと俺も――

「……なら、これからよろしくな、ラエティティア」

そう言った瞬間、俺はもう“殺す側”じゃなかった。

たぶん、やっと俺自身の物語が、始まり直したんだ。

ラエティティアが言った。「よろしくお願いします、ユリエンス殿下」と。

 ……殿下。そう呼ばれるの、久しぶりだった気がする。

使い捨ての道具としての“王子”じゃなく、ちゃんと誰かに名を呼ばれて――俺自身が、誰かにとっての何かになれたような、そんな感覚。

けど、すぐに冷めた。

そんな甘ったるいもんじゃないって、自分が一番よく知ってる。

(信じて、裏切られたら終わりだ)

それでも、信じたかった。

この奇妙な世界で、たった一人だけでも、本当の意味で“同じもの”を見ているやつがいるのなら――それは、きっと救いなんだ。

月が差し込む部屋の片隅。

ラエティティアはもう、警戒を解いていた。まだ眠れそうにないのか、ゆっくりと寝台に背を預けながらも、視線だけこちらに向けている。