***
俺は、間違いなく殺しに来た。
そう命じられていたし、俺自身も、それが一番「物語」を壊せる手段だと信じていた。
侵略者の思い通りにはならないと。
けど、あいつは泣かなかった。
怯えて、逃げようとして、それでも目を逸らさなかった。俺を見て、声を震わせながらも自分の言葉で俺に伝えようとした。
「……ペルペトゥス皇女、ラエティティア・デア・ペルペトゥス」
心臓が、ひときわ大きく跳ねた。
ハルモニアが言っていた名だ。――“この世界の本来の主人公”。
そして、本来の俺と結ばれるはずだった存在。
(マジかよ)
信じたくなかった。
けど、目の前の少女が、自分と同じように“時間を遡った”と語ったとき――俺はもう、否定できなくなってた。
処刑された、って。
無実だったのに、誰にも信じてもらえなかったって。
それは――
(まるで、俺と同じじゃねえか)
そう思った瞬間、力が抜けた。
短剣を収める。緊張の糸が切れた身体は、急に重たく感じた。
「……なんだよ。じゃあ、俺とお前、似たようなもんじゃねえか」
気づけば、窓の縁に腰を下ろしていた。背筋を張る気力すら失ってた。
誰かにこうやって、過去のことを言えたの、初めてだった。
信じられるかどうかも分からないのに、こいつは俺に「協力したい」って言った。
(バカじゃねえのか)
でも――あの言葉には、確かに温もりがあった。
嘘じゃなく、誰かが俺の存在を“信じようとしてくれた”。そんな温かさが。
俺は、間違いなく殺しに来た。
そう命じられていたし、俺自身も、それが一番「物語」を壊せる手段だと信じていた。
侵略者の思い通りにはならないと。
けど、あいつは泣かなかった。
怯えて、逃げようとして、それでも目を逸らさなかった。俺を見て、声を震わせながらも自分の言葉で俺に伝えようとした。
「……ペルペトゥス皇女、ラエティティア・デア・ペルペトゥス」
心臓が、ひときわ大きく跳ねた。
ハルモニアが言っていた名だ。――“この世界の本来の主人公”。
そして、本来の俺と結ばれるはずだった存在。
(マジかよ)
信じたくなかった。
けど、目の前の少女が、自分と同じように“時間を遡った”と語ったとき――俺はもう、否定できなくなってた。
処刑された、って。
無実だったのに、誰にも信じてもらえなかったって。
それは――
(まるで、俺と同じじゃねえか)
そう思った瞬間、力が抜けた。
短剣を収める。緊張の糸が切れた身体は、急に重たく感じた。
「……なんだよ。じゃあ、俺とお前、似たようなもんじゃねえか」
気づけば、窓の縁に腰を下ろしていた。背筋を張る気力すら失ってた。
誰かにこうやって、過去のことを言えたの、初めてだった。
信じられるかどうかも分からないのに、こいつは俺に「協力したい」って言った。
(バカじゃねえのか)
でも――あの言葉には、確かに温もりがあった。
嘘じゃなく、誰かが俺の存在を“信じようとしてくれた”。そんな温かさが。

