主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜

「……ははっ。お前も、か」
「……?」
「なんだよ。俺たち、似たようなもんじゃねえか」

殿下は短剣をしまい、窓辺に腰を下ろした。
まるで刺客でも王子でもない、ただの少年のように。

「俺は、自分の運命を変えたい。でも、一人じゃどうにもならなかった。だから、探してたんだよ。誰か、信じられる奴を」
「……私を?」
「まあ、話くらいは聞いてやってもいいと思っただけ。……殺すつもりだったけど、今は辞めた」

私は、しばらく何も言えなかった。

彼も、誰にも言えず、誰も信じられず、それでも戦ってきたのだ。私と同じように。

「……私、貴方と協力したいです。正しい物語を、取り戻したい」

その言葉に、殿下はわずかに眉をひそめる。

「いいけど、一つ条件がある」
「……条件?」
「これから先、俺に何があっても――絶対に“味方”でいろ。裏切るなよ?」

その目はまっすぐで、必死だった。
信じたいのに、信じきれない。それでも誰かに手を伸ばそうとする目。

私は、しっかりと頷いた。

「ええ。貴方がそれを望むなら、私は味方でいます」

殿下はふっと目を細めて、微笑んだ。

「……なら、これからよろしくな、ラエティティア」

それはまるで、ようやく物語が“始まり直す”瞬間のようだった。