主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜

声に出して言うと、なんだか胸の奥がじんわりと温かくなった。

「ちゃんと、笑えたよ。……侵略者に勝てるか分からないし、まだ少し怖いけど。……でもね、私、一人じゃないから」

窓の外、月明かりに照らされた庭園が見える。
あのバラはきっと、明日も咲いているだろう。

私は布団に入り、しおりを本の間に挟んで閉じる。
その上にそっと、花冠の残りの花を一輪だけ添えた。

私の誕生日は、母を失った悲しみと共にある。
けれど、それでも。

この世界に生まれてきた日を、誰かが喜んでくれるのなら――

私はその日を、怖がらずに迎えていきたい。

「お母様、おやすみなさい。……ありがとう」

そう囁いて、私は静かに目を閉じた。

眠りの中で、母の声がどこかで聞こえた気がした。

優しくて、懐かしくて。――そして、確かに私を愛していた声だった。