夜の帳が下り、王宮の窓には淡い月の光が差し込んでいた。
私はベッドに腰掛け、そっと手のひらを開く。そこには、今日受け取った贈り物のひとつ、小さな銀の羽根飾りが付いたしおりがあった。
それを指先で撫でながら、私は静かに目を閉じる。
――今日は、私の誕生日だった。
誰にも祝われないと思っていたのに。
朝目覚めたときには、母の面影ばかりが胸に残っていて、心がずっと重たかったのに。
けれど、ディアが、ミネルヴァが、グラドが、ルディ様が、そして叔父様が。
私のために、時間をくれた。言葉をくれた。笑顔をくれた。
控えめだけど、確かな温もり。
今でも、花々の香りと焼き菓子の甘い匂いが、ふとした瞬間に鼻腔をくすぐる気がする。
テーブルに飾られていたのは、アヤメ。
お母様が好きだった花。
あの庭は、きっと、お母様の記憶と私のこれからが、そっと重なる場所だったのだろう。
涙がひと粒、頬を伝って落ちる。
「……お母様。今日ね、皆が祝ってくれたの。ディアも、グラドもミネルヴァもルディ様も、叔父も……」
私はベッドに腰掛け、そっと手のひらを開く。そこには、今日受け取った贈り物のひとつ、小さな銀の羽根飾りが付いたしおりがあった。
それを指先で撫でながら、私は静かに目を閉じる。
――今日は、私の誕生日だった。
誰にも祝われないと思っていたのに。
朝目覚めたときには、母の面影ばかりが胸に残っていて、心がずっと重たかったのに。
けれど、ディアが、ミネルヴァが、グラドが、ルディ様が、そして叔父様が。
私のために、時間をくれた。言葉をくれた。笑顔をくれた。
控えめだけど、確かな温もり。
今でも、花々の香りと焼き菓子の甘い匂いが、ふとした瞬間に鼻腔をくすぐる気がする。
テーブルに飾られていたのは、アヤメ。
お母様が好きだった花。
あの庭は、きっと、お母様の記憶と私のこれからが、そっと重なる場所だったのだろう。
涙がひと粒、頬を伝って落ちる。
「……お母様。今日ね、皆が祝ってくれたの。ディアも、グラドもミネルヴァもルディ様も、叔父も……」

