主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜

そのとき、奥の扉が静かに開かれた。

「……今いいか? 少しだけ、顔を見に来たんだが」

低く響く、けれど柔らかな声。入ってきたのは、叔父様だった。

「……誕生日おめでとう、ラティ。姉上の葬儀の後だから、お前の初めての誕生日パーティーを豪華にしてやれなくて申し訳ないと思ってる」
「いえ、祝って頂けるだけで嬉しいです」

続いて現れたのは、上品な濃紺のドレスに身を包んだルディ様。

「遅くなってしまってごめんなさいね、ラティ。お誕生会に間に合わないなんて、王妃失格だわ」

私はルディ様の少しおどけたその口ぶりに、小さく笑った。

その後ろに、控えめに現れたのはグラドだった。
彼は私と目が合うと、少し戸惑ったように目を逸らしたが、意を決したように前へ出た。

「……これ、お母様と一緒に選んだんだ。気に入ってもらえたら、嬉しい」

差し出された包みを開くと、そこには真珠のついたしおりが入っていた。
手製だろうか、小さな銀の羽根飾りがついている。

「読書が好きだって聞いたから……」

彼の頬はほんのり赤くなっていた。

私はその姿に目を見開き、それから深く頭を下げた。

「ありがとう。すごく、嬉しいわ」
「私からも、これ、使ってくれると嬉しい!」

ディアが差し出したのは、細かい刺繍が施されたハンカチ。
花模様が可愛らしく、手触りも柔らかい。

「自分で縫ったのよ! ミネルヴァに教わって」
「ありがとう。とっても綺麗……大事にするわ」