主人公の座、返してもらいます！〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜

ハッと意識が戻り起き上がると、そこは見慣れた自室のベッドの上。窓から見える空は薄暗く、今はまだ夜明け前のようだ。

「……夢？」

夢にしては妙にリアルで、首には冷たい刃物の感触がまだ残っている。しかしスルリと撫でた首はしっかり身体と繋がっていて、ここがあの世というものでは無い限り、私はまだ生きているのだろう。

ベッドから降りると身体が妙に軽く、いつもより視界が低い気がする。慌てて備え付けの鏡で確認すれば、そこには幼い頃の自分が映っていた。

「なに……これ。私、子供に戻ってる……？」

ありえない光景に頬を抓ってみるが、鈍い痛みが走り、否が応でもこれが現実であると突きつけられる。

「どういう事……？私処刑されて……それで……」
「貴方様は回帰したのです！」
「きゃっ？！」
「うぎゃあ！」

鏡を見ながら首を傾げていた私の後ろから、奇妙な生物が顔を覗かせ、驚いた私は虫を追い払うように咄嗟にその生物を弾き飛ばしてしまった。

「あっ……すみません！大丈夫ですか……？」
「う……うう……大丈夫なのです。僕は神獣なのですから！」
「神獣？」