主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜

国民達からの罵声を浴びながら処刑台の上で膝を付けば、首筋に冷たい刃物の感触が伝わる。少しでも力が加われば私の首なんて一瞬で落ちてしまうだろう。

最後に一目でもいいから義父や他の王族の顔を見てやろうと顔を上げれば、王族達の冷ややかな視線が自身に注がれている事に気がついた。

血の繋がりがなくとも、少しくらい家族の情があるのではと期待した自分が馬鹿だった。彼らにとって私は目障りなテネブラエ王家の人間でしかないのだから。

「最期に何か言いたいことは?」
「……私はーー」

バツンーーと首に衝撃が走る。

陛下の言葉に私が口を開いた瞬間、第一王妃が処刑の合図を送ったのを、確かにこの目で見た。

私は、やってません。

その一言すら、私は言わせてもらえなかったのだ。

(ねえ神様。ゲネシス様。私は、何か悪いことをしてしまったのでしょうか。そうでないのなら、この仕打ちはあまりに酷ではないでしょうか)

勢いの強まった雨が頬を打ち付ける中、私は意識を手放した。

どうか、来世こそ幸せな人生を送れますようにーー。

そう願いながら。