主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜

私の髪は、魔法で変えた深い紫。瞳も赤。母に似せた姿。けれど本来は、彼と同じ白い髪と紫の瞳――ペルペトゥスの皇族の証。

(私が名乗らなかったから、そうなっただけ)

意識して、そう思う。けれど胸の奥では、どこか寂しさが静かに膨らんでいた。

更に心を掻き乱すのは、彼の傍らにいた3人の子供たちだった。

アルビオン皇子。聖下と見知らぬ女性との間の子。そして、もう二人――薄灰色の髪に青灰色の瞳をした、見知らぬ子供たち。

(あの子たちは……聖下の養子)

詳しいことは聞いていない。けれど、彼らが自分の知らない「家族」としてそこに居たという事実が、痛みとなって私の胸を締めつけた。

(私以外にも、こんなに……)

「……嫉妬してるの?」

自分に問いかける声が、ひどく冷静だった。

(そうじゃない。私は……自信がないだけ)

本当の娘として選ばれるだけの価値が、自分にあるのか。愛された母の娘として、父の前に立つ資格が、本当にあるのか。

でも、だからこそ。

(取り戻すの。私の、居場所を)

それは、決意に似た想いだった。

主人公の座を奪われたと知ったあの日から、ここまで来た。辛いことも、悲しいことも、全部飲み込んで歩いてきた。

だから今さら、逃げるわけにはいかない。

私は立ち上がった。鏡の前に進み、魔法で作られた自分の姿を見つめる。

深い紫の髪と赤い瞳。フォルトゥナ・ノクス・アドラティオの娘としての「今の自分」。

(まだその時ではない。けれど、必ず――)

誇りを持って、父の前に立てる日が来たら。その時こそ、私は「皇女」としてペルペトゥスの城の敷居を跨ぐ。

静かに目を閉じる。

そして再び開いた時、その瞳の奥には、迷いのない光が宿っていた。