主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜

違うと何度も言っても、誰一人として耳を傾けてはくれない。これがお飾りの王女の実際の立場なのだろう。

「姫様、騎士達によると第二王子殿下が謀反を起こしたようで、姫様がその謀反に加担したと言われているようです」
「第二王子……ユリエンス殿下が?そんな……そもそも私、ユリエンス殿下のお顔すら知らないのに……謀反なんて……」
「勿論ですとも!姫様がそんな野蛮なことを考えもしないようなお優しい方であることは、このパクシーが一番知っておりますから!」

パクシーはそう言い、傷だらけの顔で笑って見せた。私は彼女の存在にどれだけ救われたのだろうか。

きっと、彼女の切断された頭を目の前に掲げられ、数日間喉から血が出るまで泣き叫び続けたくらいには、私の中の彼女の存在は大きかったのだろう。

遂にやってきた私の処刑当日。久しぶりに見上げた空は分厚い雲に覆われ、ポツポツと雨まで降っている。

空すら私の死を望んでいるのか、それとも悲しんでいるのか、私には分からなかった。