主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜

「近日中に、姉上の遺体をアドラティオから引き取り、正式に葬儀を執り行うつもりだ。その場には、もちろん聖下も参列されるだろう。……お前が望むなら、そのとき身分を明かしてペルペトゥスに戻ることもできる」

叔父様の言葉に、胸の奥が波立つ。

テネブラエ王家の後ろ盾があれば、たとえ皇女としてペルペトゥスに戻ったとしても、これから現れる“侵略者”と戦える可能性はある。

ペルペトゥスで、確かな立場を手に入れて。
皇女として、国を守り、人々のために生きていく。

――それが、私の幸せ。
それが、みんなが願ってくれている私の“幸せ”のはず。

でも……。

今日、私はあまりにも多くのことを知った。
お母様が亡くなり、この国に来て、そして父親の正体まで……。

得たものは確かにある。けれど、払った犠牲はあまりに大きかった。

それなのに。
道が開けたはずなのに。
私は――全然、幸せじゃなかった。

やっと辿り着いた“父親”という存在は、お母様を裏切ったかもしれない。
その一事が、重く心にのしかかる。

侵略者とだけ戦えばいいのなら、きっと私にも戦える。

でも……もし、書き換えられた未来の中で、“父親”までもが敵だったとしたら――
私は……耐えられるだろうか。

それでも、せっかく手にしたこのチャンスを、見送ってしまっていいの……?

迷いのなかで、私は口を開いた。

「……ペルペトゥスに戻るかどうかは……聖下と、実際にお会いしてから決めてもいいでしょうか」
「……ああ。今日は、色んなことがあったからな。ゆっくり休むといい」

叔父様の穏やかな声が、そっと背を押してくれる。

今すぐ決めなくてもいい。
その事実だけで、少しだけ胸が軽くなった。