主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜

「ねえお父様、ラティを養子にしてよ!伯母様の娘なんだから問題ないでしょ?」
「養子か……俺は構わんが……」

そう答えた叔父様は、ふと目を伏せて考え込むような表情を浮かべた。

(……姉の子とはいえ、養子に迎えるのは迷惑、よね)

いつかペルペトゥスに戻るためにも、この国での確かな立場が必要だった。
叔父様の養子になれるのなら、それ以上の後ろ盾はない。

でも、それは私の事情だ。彼らに迷惑はかけたくなかった。

「ラティ。食後、執務室に来なさい」
「……わかりました」

食事を終え、執務室に向かうと、叔父様は山積みの書類に目を通していた。

「お待たせしました」
「いや、大丈夫だ。そこに座ってくれ」

ソファに腰を下ろすと、侍女が紅茶を差し出してくれる。

ひと口飲んだところで、叔父様は侍女や執事を下がらせ、扉の外にも人払いを命じた。

(……誰にも聞かせられない話?)

少し不安に思って首をかしげると、叔父様は静かに口を開いた。

「俺たちとしては、お前をテネブラエ王家の養子に迎えることに異論はない。むしろ、歓迎したい。だからこそ、こうしてお前を連れてきたんだ」
「……!」