主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜

「貴方がラエティティア?私はクラウディア!同い歳の従姉妹が居るって聞いて私、とても貴方に会いたかったのよ!」
「クラウディア殿下、お会いできて嬉しいです」
「“殿下”なんてやめてよ!そんな堅苦しい言葉もなし。だって、私たち家族じゃない?それに、私のことはディアって呼んで。私も、ラティって呼んでいい?」
「……ありがとうディア、よろしくね!」
「ええ、もちろん!あ、そうそう夕食の用意ができたから呼びに来たのよ!」
「そうなの?ありがとう!でもわざわざ呼びに来なくても……」
「一足先にラティに会いたいから来ちゃったの!ほら早く行きましょ?今日の夕食は豪華にしろってお父様が料理長に言ってたから、期待して良いわよ!」
「ふふ、それは楽しみだわ!」

ディアはそう言うと、私の手を引き歩き始めた。

どうやら彼女が食堂まで案内してくれるようで、夕日に照らされ無邪気に笑うディアが眩しくて目を細める。

友達ができたら、きっとこんな感じなのだろう。

私は繋いだ手にそっと力を込める。

優しくて、あたたかい家族に囲まれて、こんなにも幸せなはずなのに――

それでもなお、「ここにお母様がいれば」と願ってしまう私は、贅沢すぎるのだろうか。