パクシーは私の髪をひと束すくい、懐かしむように鏡越しに見つめた。そのまっすぐな瞳が少し居心地悪くて、私は視線を逸らす。
ふと目に入ったバルコニーに目を向けて言う。
「夕食までまだ時間、あるわよね?パクシー、よかったら庭園を案内してくれる?」
「ええ、もちろんです!」
パクシーの案内で庭園に到着し、花に囲まれたベンチに腰掛ける。
「ねえ、パクシー……私の父のこと、何か知ってる?」
「ラエティティア様のお父様……ですか。フォルトゥナ様から直接聞いたことはありませんでしたが、フォルトゥナ様は定期的にお相手様と手紙でやり取りなさっていましたよ」
「そう……ありがとうパクシー」
この世界に生きる人間が、白い髪に紫の瞳を持つ者のことを知らないはずがない。
それなのにパクシーは私の本来の髪と瞳を見ても尚、私の父親を知らないと言った。きっと、お母様と何か約束でも交わしたのだろう。
(お母様は……どうして、私の身分を隠そうとしたの?)
空が茜色に差し掛かった頃、庭園に侍女を数人引き連れた少女がやって来た。
叔母様によく似た赤毛と、叔父様譲りの深紅の瞳、そして美しいドレス。先ほど話に出ていたクラウディア殿下に違いないと思い、私は慌てて立ち上がり、身なりを整える。
ふと目に入ったバルコニーに目を向けて言う。
「夕食までまだ時間、あるわよね?パクシー、よかったら庭園を案内してくれる?」
「ええ、もちろんです!」
パクシーの案内で庭園に到着し、花に囲まれたベンチに腰掛ける。
「ねえ、パクシー……私の父のこと、何か知ってる?」
「ラエティティア様のお父様……ですか。フォルトゥナ様から直接聞いたことはありませんでしたが、フォルトゥナ様は定期的にお相手様と手紙でやり取りなさっていましたよ」
「そう……ありがとうパクシー」
この世界に生きる人間が、白い髪に紫の瞳を持つ者のことを知らないはずがない。
それなのにパクシーは私の本来の髪と瞳を見ても尚、私の父親を知らないと言った。きっと、お母様と何か約束でも交わしたのだろう。
(お母様は……どうして、私の身分を隠そうとしたの?)
空が茜色に差し掛かった頃、庭園に侍女を数人引き連れた少女がやって来た。
叔母様によく似た赤毛と、叔父様譲りの深紅の瞳、そして美しいドレス。先ほど話に出ていたクラウディア殿下に違いないと思い、私は慌てて立ち上がり、身なりを整える。

