主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜

荷造りを終えたパクシーと合流し、離宮の中庭から、叔父様の転移魔法でテネブラエの王宮へと瞬時に移動した。

「これが転移魔法……すごいですね」
「急ぎでなければ馬車で移動するんだが、あんな国早く離れ方がいいからな」
「陛下、姫様のお部屋にお荷物を運んでまいりますので、ここで失礼いたします」
「ああ。パクシー、姉上とラティの面倒を良く見てくれたな。引き続きラティを頼むぞ」
「勿論です陛下。フォルトゥナ様の分まで、姫様をお守り致します」
「ではラティ、部屋の準備が済むまで応接室へ案内しよう」

叔父様に抱かれたまま王宮の応接室に入ると、炎のような鮮やかな赤髪と、新芽を思わせる瞳の女性が、足音も軽やかに駆け寄ってきた。

「陛下!その子がフォルトゥナ様の……?」
「ああ、姉上の娘ラエティティアだ」
「ラエティティア、ラティって呼んでもいいかしら……私はテネブラエの王妃、コンコルディア・テネブラエよ。気軽にルディって呼んでね。私、フォルトゥナ様には昔からお世話になっていたの……ああ……それなのになんてこと……」
「ルディ様……」
「フォルトゥナ様の娘は私の娘も同然よ。ラティも私を母だと思って接してね」
「分かりました。ありがとうございますルディ様」
「貴方の従兄弟のグラディウスとクラウディアは予定があって今は来ることが出来ないの。夕食の時間には会えるわ」