主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜

叔父様は言うが早いか、私の両脇に腕を回し、軽々と抱き上げた。

急に高くなった視界に驚いて叔父様しがみつくと、お母様に似た優しい笑顔が降ってきて、涙がすっと引いていく。

「ラエティティアを、我がテネブラエ王家で引き取らせてもらう」
「なに……? それは“曲がりなりにも”アドラティオ王家の一員。そう簡単に渡すわけにはいかない」
「口では一員と称しても、どうせ家系図にすら載せていないんだろう? 見せかけだけ立派なことだ」

私の不安を察したのか、叔父様は私の頭を優しく撫でる。

「ラティ。聞きたくなければ、耳を塞いでなさい」
「いいえ、これは私のことです。……最後まで、聞かせてください」
「そうか。強いな、ラティ。姉上によく似ている」

そして、最初にその空気に耐えきれなくなったのは、アウローラ殿下だった。第一王妃殿下の背後から出てきて、陛下の服の裾を引っ張る。

「お父様、あんな子は渡してしまいましょうよ! どうせアドラティオの血なんて入ってないのですから!」
「……王女殿下は、よく分かっているようだ」

叔父様が皮肉めいた笑みを浮かべながら言う。

「姉上との婚姻で、この子を“王室に入れた”のだろう? だが、その姉上はもういない。つまり、ラエティティアとお前たちの繋がりは切れた」
「だが、この子には我がテネブラエ王家の血が確かに流れている。我々が引き取るのが妥当だ。そうは思わないか、イニティウム」