「これで俺と婚約できるな、イザベル」
「ええ」
返事をしたイザベルは差し出された手に自身の手を重ねる。
フッと笑ったウィリアムは、掛けていた大きな眼鏡を外した。その途端、近くにいた女子生徒たちから悲鳴に似た黄色い声が上がる。
きめ細やかな白い肌に、大人の色気と少年の愛らしさを兼ね備えた美麗な顔立ち。パーツ一つ取っても絶妙な位置に配されていて完璧としか言いようがない。
何よりも湖のような青い瞳は神秘的で目が離せなかった。
あまりにも美しい容姿に数人の生徒が倒れてしまう始末だ。イザベルはその様子に苦笑する。
「移動しましょうか。ここでは落ち着いて話せません」
「そうだな」
イザベルは周囲の注目を浴びながら、ウィリアムと共に大ホールを後にした。



