ひと通り買い物を済ませたあとは、少し小腹が空いたので何かスイーツでも食べようかということになり、三人で色んなカフェがある場所までやってきた。
オシャレなカフェがいっぱいで、どこにしようか迷ってしまう。
するとそこで、とあるカフェの呼び込みをしていた女性店員さんに声をかけられた。
「こんにちはー、そこのカップルの三人」
その言葉にギョッとして足を止めたら、店員さんは私と悠くんと蓮くんに、ニコニコしながらメニューを見せてくる。
「ただいまカップルのお客様にカップルメニューをご提供しております。いかがですか?」
「えっ!」
思わず二人の顔を確認してしまった私。
限定スイーツ、ちょっ食べてみたいかも。
すると悠くんがボソッと「入るか、、、」と言ったので入ることに。
それを聞いた店員さんがニコッと笑って、
「ありがとうございまーす!それではとっておきの席をご案内しますね!」
意気揚々と店内まで案内してくれた。
席に座ると、とりあえず先程見せてもらったカップル限定スイーツと飲み物を頼んだ。
「カップルに見えたって言ってたけど、僕と悠斗どっちが未来ちゃんとカップルに見えていたのかな?」
ボソッと不思議そうに言う蓮くん。
「さぁな。俺じゃねぇの?」
「僕だよ」
それから数分程待った後、店員さんがスイーツを三つ運んで来てくれた。
「大変おまたせしました〜!こちら、カップル限定スイーツになりま〜す!」
実物は写真で見るよりも可愛く、思わず声を上げてしまった。
「わ〜!可愛い!」
何これ、食べるのが勿体ないくらいだよ。
「記念撮影も承っております〜!どうです?」
カメラ片手に満面の笑みを浮かべる店員さん。
―――カシャ。
「は〜い、良い感じに取れましたよ〜!」
言われて写真を見てみたら、そこにはカップル感満載の私達の姿が。
「それでは現像してきますので、枚数は三枚でよろしいでしょうか?」
「あ、はい」
数十分後、再びやってきた店員さんに手渡されたのは
現像された写真。
「母さんに送ってやるか、、、」
悠くんがスマホを操作して画像をメールで送ると、返信が来たらしく、少し笑っていた。
「どうしたの?」
「ん?母さんが『あら〜、良いわね〜』って」
「お母さんらしいね」
それから、またゲームセンターで遊び尽くした私達は、そのまま流れで夜ご飯まで食べてから帰宅した。
「今日は楽しかった〜」
「ねー!」
「こんなに長時間一緒にいたのは久しぶりかもしれないな」
幼い頃から一緒の私達だけど、成長するにつれて一緒に遊べる時間は減ってしまった。蓮くんは寂しがり屋さんだから、その空白を埋めたかったのかもしれない。悠くんは、、、分かんないや。
「あのね、最後に一つだけお願いしても良い?」
「うん、良いよ〜。今日はまだ終わってないし」
「、、、!ありがとう。ちょっと待っててね」
「?うん」
急にリビングを飛び出した蓮くん。要するに自室に何か取りに行ったようだ。寝るのは一緒だけど、一応それぞれの部屋はある。リビングに残された私と悠くんの間に、少し気まずいような沈黙が流れる。場を持たせる為に、悠くんに感想を求めた。
「悠くんは楽しめた?」
「、、、悪くなかったんじゃねぇの?」
「もっとお願いしても良かったのに〜」
「俺のはまだあるから良いんだよ」
「え?」
まだある、と言う悠くんの言葉の真意を聞こうとした時、タイミング良く蓮くんが帰ってきた。その手には一枚の紙が握られていて、私の前に座った蓮くんはそれを私に差し出してきた。
「これ、は、、、?」
「契約書だよ。悠斗と一緒に作ったんだ」
「け、契約書?」
「うん。やっぱりこの先も一緒にいたいなって思って、、、でも結婚相手はどっちか選ばないといけないから、どっちを選んでも同じ結果になるようにって考えていたら悠斗がね」
「契約すれば良いだろ。俺達のお願いは『その契約書にサインしろ』だ」
「え、えぇ〜?」
斜め上どころか垂直方向のお願いがきた。まさかの展開に目眩すら感じる。とりあえず一旦、契約書に目を通してみる。もしかしたら大した内容じゃないかもしれないし。
しかし私の予想は全く当たらず、契約書には難しい文字がつらつらと並べられていて、何回読んでもちんぷんかんぷんだった。
「だ、ダメだ、、、全く分かんない」
「要するに、この先何があっても俺達と一緒にいろっていう内容だ」
「この先何があってもは難しいんじゃないかな?」
「やっぱり結婚は三人では出来ないし、養子縁組とかもお母さんとお父さんが駄目って言うから、、、」
「あ、本当に結婚しようとしてたんだ」
「単純に契約だけで良いんだよ。結婚しても契約しても大して変わんねえから」
「法律的なことはお父さんがノリ気で確認してくれたから大丈夫だよ!」
「うん、全然大丈夫じゃないね」
最後の最後でとんでもないお願いがきてしまった。可愛らしい、なんて呑気に考えていた自分に忠告してやりたい。この二人、とんでもないことを企んでいるよって。
「これはちょっと、、、無理かな」
「えっ」
「は?他に好きな奴でもいるのか?呼んでこい、俺が見定めてやる」
「悠くんは私のお父さんかな!?」
「捨てるの?僕達のこと、、、」
「俺達がいないとまともに生きられないくせにな」
「い、言い方が悪いよ、、、」
確かに二人には返しきれない程の恩があるが、さすがにこれはちょっと、、、。蓮くんがあまりにも悲しげな瞳でこっちを見詰めてくるので、何だか私が悪いような気がしてくる。間違っていないと思うんだけどね、私。
「ずっと一緒にいるって約束してくれるだけで良いのに、、、」
「法的に?」
「うん」
「信用ならねぇんだよ」
「十六年近く一緒にいてもないんだ、、、信用」
結局その後、長時間押し問答をして、いつの間にか日付が変わったところで『お願い』の効果が切れ、契約書にサインをせずに済んだ。安心した私を他所に「この契約書、来年まで取っとけ」「僕達、まだチャンスはあるよね、、、!」なんて会話をしていた。
全く油断ならない双子達である。
オシャレなカフェがいっぱいで、どこにしようか迷ってしまう。
するとそこで、とあるカフェの呼び込みをしていた女性店員さんに声をかけられた。
「こんにちはー、そこのカップルの三人」
その言葉にギョッとして足を止めたら、店員さんは私と悠くんと蓮くんに、ニコニコしながらメニューを見せてくる。
「ただいまカップルのお客様にカップルメニューをご提供しております。いかがですか?」
「えっ!」
思わず二人の顔を確認してしまった私。
限定スイーツ、ちょっ食べてみたいかも。
すると悠くんがボソッと「入るか、、、」と言ったので入ることに。
それを聞いた店員さんがニコッと笑って、
「ありがとうございまーす!それではとっておきの席をご案内しますね!」
意気揚々と店内まで案内してくれた。
席に座ると、とりあえず先程見せてもらったカップル限定スイーツと飲み物を頼んだ。
「カップルに見えたって言ってたけど、僕と悠斗どっちが未来ちゃんとカップルに見えていたのかな?」
ボソッと不思議そうに言う蓮くん。
「さぁな。俺じゃねぇの?」
「僕だよ」
それから数分程待った後、店員さんがスイーツを三つ運んで来てくれた。
「大変おまたせしました〜!こちら、カップル限定スイーツになりま〜す!」
実物は写真で見るよりも可愛く、思わず声を上げてしまった。
「わ〜!可愛い!」
何これ、食べるのが勿体ないくらいだよ。
「記念撮影も承っております〜!どうです?」
カメラ片手に満面の笑みを浮かべる店員さん。
―――カシャ。
「は〜い、良い感じに取れましたよ〜!」
言われて写真を見てみたら、そこにはカップル感満載の私達の姿が。
「それでは現像してきますので、枚数は三枚でよろしいでしょうか?」
「あ、はい」
数十分後、再びやってきた店員さんに手渡されたのは
現像された写真。
「母さんに送ってやるか、、、」
悠くんがスマホを操作して画像をメールで送ると、返信が来たらしく、少し笑っていた。
「どうしたの?」
「ん?母さんが『あら〜、良いわね〜』って」
「お母さんらしいね」
それから、またゲームセンターで遊び尽くした私達は、そのまま流れで夜ご飯まで食べてから帰宅した。
「今日は楽しかった〜」
「ねー!」
「こんなに長時間一緒にいたのは久しぶりかもしれないな」
幼い頃から一緒の私達だけど、成長するにつれて一緒に遊べる時間は減ってしまった。蓮くんは寂しがり屋さんだから、その空白を埋めたかったのかもしれない。悠くんは、、、分かんないや。
「あのね、最後に一つだけお願いしても良い?」
「うん、良いよ〜。今日はまだ終わってないし」
「、、、!ありがとう。ちょっと待っててね」
「?うん」
急にリビングを飛び出した蓮くん。要するに自室に何か取りに行ったようだ。寝るのは一緒だけど、一応それぞれの部屋はある。リビングに残された私と悠くんの間に、少し気まずいような沈黙が流れる。場を持たせる為に、悠くんに感想を求めた。
「悠くんは楽しめた?」
「、、、悪くなかったんじゃねぇの?」
「もっとお願いしても良かったのに〜」
「俺のはまだあるから良いんだよ」
「え?」
まだある、と言う悠くんの言葉の真意を聞こうとした時、タイミング良く蓮くんが帰ってきた。その手には一枚の紙が握られていて、私の前に座った蓮くんはそれを私に差し出してきた。
「これ、は、、、?」
「契約書だよ。悠斗と一緒に作ったんだ」
「け、契約書?」
「うん。やっぱりこの先も一緒にいたいなって思って、、、でも結婚相手はどっちか選ばないといけないから、どっちを選んでも同じ結果になるようにって考えていたら悠斗がね」
「契約すれば良いだろ。俺達のお願いは『その契約書にサインしろ』だ」
「え、えぇ〜?」
斜め上どころか垂直方向のお願いがきた。まさかの展開に目眩すら感じる。とりあえず一旦、契約書に目を通してみる。もしかしたら大した内容じゃないかもしれないし。
しかし私の予想は全く当たらず、契約書には難しい文字がつらつらと並べられていて、何回読んでもちんぷんかんぷんだった。
「だ、ダメだ、、、全く分かんない」
「要するに、この先何があっても俺達と一緒にいろっていう内容だ」
「この先何があってもは難しいんじゃないかな?」
「やっぱり結婚は三人では出来ないし、養子縁組とかもお母さんとお父さんが駄目って言うから、、、」
「あ、本当に結婚しようとしてたんだ」
「単純に契約だけで良いんだよ。結婚しても契約しても大して変わんねえから」
「法律的なことはお父さんがノリ気で確認してくれたから大丈夫だよ!」
「うん、全然大丈夫じゃないね」
最後の最後でとんでもないお願いがきてしまった。可愛らしい、なんて呑気に考えていた自分に忠告してやりたい。この二人、とんでもないことを企んでいるよって。
「これはちょっと、、、無理かな」
「えっ」
「は?他に好きな奴でもいるのか?呼んでこい、俺が見定めてやる」
「悠くんは私のお父さんかな!?」
「捨てるの?僕達のこと、、、」
「俺達がいないとまともに生きられないくせにな」
「い、言い方が悪いよ、、、」
確かに二人には返しきれない程の恩があるが、さすがにこれはちょっと、、、。蓮くんがあまりにも悲しげな瞳でこっちを見詰めてくるので、何だか私が悪いような気がしてくる。間違っていないと思うんだけどね、私。
「ずっと一緒にいるって約束してくれるだけで良いのに、、、」
「法的に?」
「うん」
「信用ならねぇんだよ」
「十六年近く一緒にいてもないんだ、、、信用」
結局その後、長時間押し問答をして、いつの間にか日付が変わったところで『お願い』の効果が切れ、契約書にサインをせずに済んだ。安心した私を他所に「この契約書、来年まで取っとけ」「僕達、まだチャンスはあるよね、、、!」なんて会話をしていた。
全く油断ならない双子達である。



