すると、入れ違いに玄関に入ってきただれかと、ものすごい勢いでぶつかってしまう。
「わわっ!!」
顔を上げると、驚いたように私を支えるすみれがいて……。
「すみ……れ…?」
「桃花?どうした?そんなにあわてて。こんな時間にどこかに行くつもりだったのか?」
すみれ……!!すみれだ……!!
すみれの顔を見た途端、私はほっとしてしまって、涙がぽろぽろとこぼれはじめた。
そんな私にすみれがめずらしくあわてている。
「も、桃花!?どうした!?」
「あー、すみれが桃花泣かしてる~!」
「おいっすみれっ!桃花になにしてんだっ」
「もっ桃花ちゃん!?大丈夫?」
すみれの後ろから、ゆきにそら、あかねの声がして、さらにほっとしてますます泣いてしまった。
「みんなぁぁぁ……よかったぁぁぁ……」
泣きわめく私を、驚いたように見つめるすみれ。
「えっと、心配かけたか?遅くなって悪かった。みんなでこいつを買いに行ってたんだ」
そう話しながら、すみれが手に持ったビニール袋を持ち上げる。
中を覗くと……。
「お菓子……?」
スナック菓子やチョコレート、駄菓子やジュースなんかも入っていた。
「そらがあれも食べたいこれも食べたいってうるさくて、選ぶのに時間がかかったんだ」
「桃花なら絶対これ食べたいでしょ!」
「食べたいのはそらだろ」
きょとんとする私に、ゆきとあかねが説明してくれる。
「桃花、新作の完成おめでとう会をしようと思ってね」
「ぜ、前回は、テストとかぶってできなかったから……」
「それでわざわざみんなでお菓子を……?」
みんなはにこりと笑う。
「なあんだ、そうだったんだぁ……」
ほっとしすぎて、今度は腰が抜けちゃいそうだった。
力の入らなくなった私を支えてくれたのは、やっぱりすみれだった。
「心配かけたなら、悪かったよ」
「もうっ!すみれが帰りぎわ変なこと言うからっ!!」
「変なこと?」
私はすみれをぎゅっと抱きしめた。
「も、桃花……?」
「ずっとそばにいて……!これからも私の夢を応援してくれるって言ったもん!」
すみれは私を優しく抱きしめ返してくれる。
「ああ、ずっとそばにいるよ。桃花の夢が叶った、その先もずっと」
うん!約束だよ!
「おかえりっ!」
「ただいま」



