すみれやゆきたちと学校生活を送るようになって、私は将来の夢に進む一歩を踏み出すことができた。
「すみれ、いつも、ありがとう!」
そんな言葉がするっと口から飛び出した。
すみれは少し驚いてから、ふっと優しく微笑んだ。
「桃花が将来の夢に向かってがんばる姿を、これからもずっとそばで見ていたいだけ」
イケメン男子になったすみれからそんなことを言われて、私の頬に熱がこもっていくのがわかる。
とくんとくんと、自分の脈がいつもより早く動いていることに気がつく。
すみれの顔を見ると嬉しくて、でもなんだか照れくさいような恥ずかしいような気持ちにもなって。
放課後の教室。
ふたりきり。
遠く聞こえる吹奏楽部の合奏の音。
校庭からは、運動部のかけ声が聞こえてくる。
「桃花?」
すみれの声に、私ははっとする。
なんだろうなんだろうこの感じ!顔が熱いよ……!
「ご、ごめん!!ぼーっとしちゃってたっ!」
すみれは表情をゆるめると、「執筆もほどほどにな」と私の頭をなでて教室を出て行った。
ひとりになってもなんだか忙しなく動く心臓に、私は混乱するばかりだった。



