とある日の放課後。
私は図書室に寄った。
前回小説を書いていたときは、大好きな本を読むことも我慢して、一気に書き上げちゃったんだけど、今回は好きなことは我慢しないことにしたんだ。
夢のためには、小説を書くことは大事。
でも、書くだけじゃなくて読むこともやっぱり大事だよね!
なんて言っているけれど、好きな本を読みたいだけかも。
心身ともに元気じゃないと、ひとを元気にする物語は書けないもんね!
そんなふうに心の中で会話しながら、図書室内を歩き回る。
今日はどんな物語の本を借りて帰ろうかなぁ…。
動物ものを書いているから、動物系でもいいし、思い切ってまったく関係のないホラーミステリーとかでもいいかも。
あ、でもまた夜怖くなっちゃうかな……。
本の背表紙を見ながら迷っていると、ひとりの女子生徒が目に入った。
おさげの髪の毛を首元でちょこんと結っていて、おとなしそうな女の子。
あれ……?この子って……。
この前も図書室で会った……?
上履きの色を見ると、私と同じ黄色ライン。
ということは同じ学年だ。
クラスの子ではないから、他クラスの子だと思う。
女の子は私と同じようになにか本を探しているみたいだった。
あの子も本が好きなのかな?
思い切って話しかけてみようかな…?
陽毬ちゃんだったらきっと気兼ねなく話しかけるんだろうけど、私にはやっぱりちょっと難しい。
もしかしたら話が合うのかもしれないけれど、急に話しかけたらびっくりしちゃうよね?
私はなんとなくその子のことが気になりながらも、結局ホラーミステリー小説を借りて図書室を出た。



