「桃花」 名前を呼ばれて、ちょっと身がまえてしまう。 「な、なあに?すみれ」 「俺も今日、こうやって桃花と過ごせて楽しかったよ」 すみれの笑顔に、私もつられて笑顔になる。 「うん!」 「がんばれ、桃花」 すみれが私の目を見て力強く言った。 がんばれ。 その言葉には、いろんなことが詰まっているような気がした。 もちろん勉強や学校での人間関係。 そして、小説家になる夢のこと。 私は、すみれの手をぎゅっと握った。 「すみれ、私、がんばるよ!」 この日私は、次の小説のテーマを決めた。