ケモノ男子~ある日突然もふもふだった動物たちがイケメン男子になりました!?



「桃花っ!」


 ぱっと顔を上げると、すみれ、ゆき、そら、あかねが目の前にいた。


「みんなぁ……」


 みんなの顔を見たらほっとしすぎて、泣きそうになった。


 私はすみれの手を借りて立ち上がる。


「振り向いたら桃花がいなくてびびった…」


「心配かけてごめんね…」


「いや、ちゃんと見てなかった俺が悪い」


「すみれったら、桃花がいない!ってものすごくあわてて」


「そりゃあわてるだろ…。桃花は怖いもの得意じゃないんだ」


「え……」


 すみれの言葉に私は目をぱちぱちと瞬かせる。


「いつもホラー小説読んで怖がってるだろ。怖いならやめればいいのに」


 すみれ、やっぱり気がついてくれてたんだ…。


 だから私がホラー小説を読んだ夜は、いつもそばにいてくれたんだ。


 その事実に、さっきまでの怖さはあっという間に吹き飛んでいく。


「さっさと出るぞ」


 すみれから差し出された手を、私はぎゅっと握る。


「うん……!」