そうして次にやってきたのは……。
「お、おばけ屋敷……?」
真っ黒の建物に、赤字でホラーハウス、と書かれている。
その文字もなんだか垂れたインクが血みたいになっていて、ちょっとおどろおどろしい……。
うう……怖そう……。
「よっし!次はここに行くぞ!」
そらが元気にお化け屋敷に入っていく。
いやいやうきうきで入っていくようなところじゃないと思うんだけど……!
そらに続いて、ゆき、あかね、すみれも中に入っていく。
真っ暗なまま受付を済ませて、道なりにお化け屋敷を進んでいく。
とある場所まで行って、おふだを持ってゴールすると、お菓子がもらえるんだって。
あかねも私と同じようにやっぱり怖いみたいで、ゆきに引っついている。
ホラー小説や、学校の七不思議の本なんかも、私はよく読むんだけど、読んだあとはいっつも怖くなって、ひとりでトイレにも行けなくなっちゃう。
そういうときはいつもすみれが廊下までついてきてくれていたっけ。
室内は真っ暗で、ほとんどなにも見えない。
そこかしこに置かれているろうそくの灯だけが頼りだ。
私は一番後ろを歩きながら、何度も背中側を振り返る。
そうしないと怖くて落ち着かない。
そんなふうに何度も後ろを振り返っていると。
「あれ?」
角を曲がった先に、前を歩いていたはずのみんなの姿がなかった。
「え、え?みんな?どこに行ったの?」
私のふるえる声が、小さく反響する。
「うそ……こ、こんなところにひとりにしないで…」
真っ暗な場所でたったひとり。
その事実に急に怖くなってしまった私は、その場から一歩も動けなくなってしまった。
なにか小さくひたひたひたと音がして、私は耳をふさいでその場にしゃがみこむ。
怖い…!!怖いよ……!
自分の心臓の音だけが、いつもよりも早く聞こえる。
するとどこかから足音がして…。



