そうして私のはじめての小説が完成した。
「か、書けたーーーっ!!」
5万文字の、中編くらいの物語。
とある女の子が、とある男の子に恋をする。
そんな何気ない日常の中の、胸キュンをつめた物語。
お父さんのお古のパソコンで、毎日少しずつ書いて、ようやくひとつの物語が完結した。
パソコンの画面の左下には、ちょうど50000文字、と記載されている。
「私の、私が書いた物語……!」
ついこの前まで読むばかりだった私が、はじめて書き上げた小説。
なんだか達成感のようなものを感じる。
私でも、小説って書けるんだ……!
パソコンの画面を見つめながらしみじみとしていると、すみれとゆきが私の隣にやってきた。
「書き終わったのか」
「うん!」
「お疲れ様。桃花、よくがんばったね」
「ありがとう!」
私はさっそくその作品を小説の公募に出してみることにした。
小説の公募というのは、初心者でも書籍化できたり、講評をもらえたりするんだって。
私はやっぱり自分の書いた物語が紙の本になってほしいから、書いた作品をコンテストに出すことにしたんだ。
本を読むプロの編集さんたちが、私のお話をどう思うのか、とても気になるところ。
「いってらっしゃい…!」
私は小説のテキストファイルをコンテストに向けて送信した。



