「今日のマラソン大会!いい天気でよかったなー!」
そう爽やかな笑顔で今にも走り出しそうなそら。
相変わらずとっても元気だ。
「そらは走るの大好きだもんね」
「おう!今日のマラソン大会、すげー楽しみにしてたんだ!」
「マラソン大会を楽しみに、だなんて、すごいな、そら…」
趣味は読書でインドアの私にとっては、なかなかしんどい行事。
それを楽しみにしていただなんて、私とは正反対の気持ちだ。
そらにかわってどんよりしている私に、ちょこちょこと寄って来るあかね。
「も、桃花ちゃん…大丈夫?顔色、あまりよくないよ…?」
「う……だ、大丈夫!すみれの言うとおり、少しは運動しなきゃだし!がんばってみる!」
あかねも心配そうに「無理はしないでね」と言ってくれた。
「おっしゃ、すみれ。どっちが早くゴールできるか、勝負しようぜ」
「望むところだ」
「おっ!やる気満々だな!ま!おれの脚には勝てないと思うけどなー!」
「は?俺の本気に吠え面かくなよ?」
すみれとそらの勝負に、「ほどほどにね」とゆきが見守る。
あかねはあわあわしながらふたりを見ている。
いつもはひとりでしんどいマラソン大会だけれど、今日はにぎやかなみんなのおかげで、なんだか少し気分が楽になった。
走るのはもちろんしんどいけれど、自分のペースで、気楽に行こう!
そうして前向きな気持ちでスタートを切った。
……のだけれど。



