「わんわんっ」
と大きな声がして、私はその声のほうへと駆け寄った。
「そら~!おはよう~」
通学路の近所のお家に住んでいる、ラブラドールレトリバーの犬のそら。
私が来ると、いつも嬉しそうに駆け寄ってきてくれるんだ。
「今日も元気だね」
そんなそらをなでてから、まだじゃれていたい気持ちを振りきって登校する。
私のクラス、二年二組に到着してまずすることは、教室で飼育しているハリネズミのご飯の準備にケージの掃除。
それから校庭にあるうさぎ小屋へ向かって、同じくご飯の支度と小屋の掃除。
これが私の朝の日課だ。
学校で私は、飼育係なのだ。
家にはすみれとゆきというねこも飼っているし、私は本を読むのと同じくらい動物が大好き!
だから飼育係に立候補したんだ。
「あかね~、ご飯おいしい?」
うさぎのあかねに声をかけると、それに答えるようにはむはむと野菜をかじる。
「よしよし、あわてずに食べるんだよ」
私は引っ込み思案で恥ずかしがり屋だから、あまりクラスの子とおしゃべりするのは得意じゃないんだ。
でも、こうして動物たちとお話するのは大好き!
動物たちは私のつたない話も聞いてくれるから、気が楽なのかもしれない。
飼育係の仕事を終わらせた私は、始業チャイムぎりぎりに教室に戻った。



