「ぼくね、絵を描くのが好きなんだ」
「うん!」
「えっと、好きなだけで、別に上手ってわけじゃないと自分では思ってて…。でもね、好きで楽しく描いているだけのものを、桃花ちゃんに上手だって言ってもらえて、やっぱりすごく嬉しかった。ありがとう……」
あかねが少し頬を赤く染めて、柔らかく笑う。
そんな姿に、少しキュンとしてしまった。
あかねは本当に穏やかで優しい子だ。
そんなふうに素直に自分の気持ちを伝えられるなんて、すごく素敵なことだと思った。
やっぱりあかねはすごい……!
そこで私もふと感じるものがあった。
好きで楽しく描いているだけ、かぁ……。
好きの気持ちって、すごく大切なんだなって、そんな当たり前のことに気がついた。
だって絵を描いているあかねはすごく楽しそうで、そんなあかねの絵もいきいきしていてとっても素敵なんだ!
「あかね、ありがとう!」
「え?お、お礼を言うのはぼくのほうじゃ…?」
「よし!絵は苦手だけれど、私も私なりに楽しく描いてみる!」
「うん…?桃花ちゃんなら、きっと素敵な絵が描けるよ」
あかねとのんびりおしゃべりをしながら描いた絵は、今まで描いたどの絵よりも、私らしくてちょっとは上手に描けた気がした。



