「もっ…桃花ちゃん……っ」
「あ、ごめんね。邪魔するつもりはなかったんだけど…」
あかねの描いたうさぎたちがあまりにかわいらしくて、つい…。
「あかね、絵すっごく上手だね…!」
「そ、そうかな…?」
少し照れたようにうつむくあかね。
なんだかその小動物みたいな仕草があまりにかわいくて、つい笑みがこぼれてしまう。
って、あかねはうさぎだったっけ…!
「私も隣で一緒に描いてもいいかな?」
「も、もちろん!」
あかねの隣に腰を下ろして、私も画用紙に向き合う。
私はうさぎ小屋全体と、その周辺にある花壇の花々をメインに描いていくことにした。
ふたり並んで、もくもくと鉛筆を動かしていく。
絵があまり得意ではない私は四苦八苦。
しかしあかねはさらさらと、まるで写真をそのまま絵にしたみたいな世界が、画用紙の上に広がっている。
「すごいなぁ、あかねは…」
「えっ?」
「私、あかねみたいに上手に描けないもん。羨ましいよ」
あかねはまた照れくさそうにうつむく。
「べつに…そんなに上手じゃないと思うけど……」
「ううん!すっごく上手だよ!」
あかねはうさぎの姿だったときから、おとなしくて謙虚な子だった。
ご飯の時間も、自分よりも他の子を優先していたっけ。



