宿題の作文をさくっと書きあげた私は、小説家という夢の一歩のため、物語を書き始めることにした。
机に向かって、ノートを広げてみるけれど、そういえば小説ってどうやって書いたらいいんだろう?
悩んだ結果、私は思い切って、陽毬ちゃんに電話してみることにした。
陽毬ちゃんはいつもがんばっていてすごい子で、私は勝手に自分を情けなく思っていたけれど、大好きな友達であることに変わりはない。
私も小説家になりたい、って陽毬ちゃんにも伝えよう…!
それと、もし聞けたら小説の書き方を聞いてみよう。
ふだんあまり使わないスマホで、陽毬ちゃんに電話をかける。
私は読書はほとんど紙で、あまり電子書籍を読まないから、スマホを使う機会も少ない。
陽毬ちゃんともお手紙のやりとりばかりだったけれど、しっかりと自分の言葉で伝えたくて、思い切って電話してみることにした。
3コールくらいして、陽毬ちゃんが電話に出た。
『桃花―?電話なんて珍しいね!元気?』
以前とまったく変わらない陽毬ちゃんの明るい声に、私はほっとする。
「もしもし、陽毬ちゃん。うん、元気だよ。お手紙ありがとう。あのね、今日は伝えたいことがあって……」
私は一拍おいてから、ゆっくりと言葉を紡ぎはじめる。
「私、小説家になりたい!だれかの心を元気にできる物語を書きたい……!」
これは陽毬ちゃんに誘われたからじゃない。
私の、私だけのなりたい夢。
陽毬ちゃんが電話の前で目を丸くしているのを想像する。
自分の夢をはじめて口にして、大切な友達にもはじめて話す。
少し不安な気持ちもあったけれど、陽毬ちゃんはいつもと同じように明るく言った。
『いいじゃん!!なろなろ!!ていうか、桃花ならぜったいなれるよ!!』
「……うん!!ありがとう……!!」
陽毬ちゃんは楽しそうに笑う。
『えへへ、うれしいなぁ。桃花がそういう話してくれて』
「え?」



