数学、社会、理科と授業が進んで、4時間目は体育の授業。
すみれたちがいることに、だれもなにも言うことなく、午前の授業ももう最後だ。
すみれとゆきが隣の席にいることに最初は戸惑っていたけれど、それもだんだんと慣れてきた。
陽毬ちゃんが引っ越してから、こんなふうに楽しく授業を受けるのは久しぶりだったかも。
体育の授業は、体育館のコートを半分に分けて、男子はバスケ。女子はバトミントンだった。
私はペアになった子と軽くラリーの練習をしながら、自分の試合の番を待っていた。
すると同じように試合の待機をしていたクラスの女の子たちから、キャーと黄色い歓声がわいた。
私とペアの子も手を止めて、声の方を振り返った。
ペアの子が「どうかしたの?」と集まる女の子たちに声をかける。
「見てみて!すみれくんたち!超かっこいいの!」
え…?すみれ?
聞きなれた名前に、私はバスケコートの方に視線を向ける。
ちょうど男子のバスケの試合が始まったところみたい。
ボールがコートの中を行ったり来たり。
その中でもぐんをぬいて目立っていたのがすみれだった。
すみれはボールを持ってあっという間にかご下まで行くと、これまた簡単にシュートを決めてしまう。
またきゃー!っと女子の歓声が体育館に響きわたる。
すみれはゆきたちチームメイトとハイタッチをしながら、うれしそうにしている。
すみれ、すごい……!勉強だけじゃなくて、スポーツもできちゃうんだ!
たしかにすみれはいつも私の部屋の机の上や本棚の上を、軽快に上り下りしてたもんなぁ…。
…なんて、ねこのすみれに思いをはせていると、人間の姿のすみれとばちっと目が合った。
すみれはひらりとこちらに手を振ってみせる。
私は少し驚きながらも、小さく手を振り返した。



