「あ、あ、あのお父さん!お母さん!」
「あら桃花、遅かったわね。早くご飯食べちゃいなさい」
「え…?」
ダイニングテーブルには、お父さん、すみれ、ゆきが並んで朝ごはんを食べていて、お母さんが私の分のご飯をテーブルに置いたところだった。
お父さんとお母さんはとくに驚いたようすもなく、いつも通りだ。
「あの!すみれとゆきが!」
「すみれくんとゆきくんがどうしたの?いいから桃花も早く食べちゃいなさい」
あれ…?お父さんもお母さんも、全然驚いてない…?
「お母さん!すみれとゆきが、人間の男の子になっちゃったの!」
私の言葉に、お母さんは首をかしげる。
「桃花、なにをわけのわからないことを言っているの。遅刻しちゃうわよ」
「え、え、でも…」
すみれとゆきは、昨日までねこだったんだよ?
それなのにどうして………。
お父さんもお母さんもなにも驚いていない。
驚いているのは、私だけ。
昨日の晩だって、いつもと同じように、本を読んで寝ただけのはずなのに……。
「あっ!」
そこでふと思い出した。
昨日の晩、本を読み終わっていつものようにすみれとゆきに本の感想を話していた。
そのとき私は、こう思ったんだ。
「すみれとゆきと、ふつうに会話できればいいのになぁ。ふたりが人間だったら、どんなタイプの子になるのかなぁ」
それから窓の外の流れ星に気が付いて……。
「もしかして……、私のつぶやきが、叶えられちゃった!?!?」
それしか思い当たることがない。
私がすみれとゆきと話したい、って願ったから、ふたりは人間になっちゃったのかも!?
考えごとをしながら食べる朝ごはんは、まるで味がしなかった。



