一途すぎる上司は、一人でも楽しそうな部下を甘やかしたい

映画が終わって、シアターを出ると千田さんが私の手を掴んだ。

「内海。この後って……!」

「……?? この後はパン屋でホットドッグを買いに行きますけど」

「ホットドッグ?」

「さっき千田さんが食べているのが美味しそうだったのとサンドイッチも食べたいので、近くのパン屋に寄ろうかと」

私がそう返答すると、千田さんが「ふはっ」と吹き出した。

「千田さん……?」

「いや、内海はそうだよな。俺も一緒に行っても良い?」

「良いですけれど、ただパンを買うだけですよ?」

「内海といるならどこでも楽しいから」

「……」

「内海?」

「ふふっ、何でもないです」

私たちは映画館を出て、パン屋に向かった。

パン屋に向かう時に当たり前のように車道側を歩いてくれる千田さんにキュンとしたのは秘密にしておこう。