前世での幼なじみ

〇 学校・校舎裏(放課後) 柱
祐介「お前……俺のこと、どう思ってる?」
祐介の問いに、まりなの心臓が一気に跳ね上がった。
(な、なんで急に……!?)
予想外の言葉に、まりなは思考が停止する。
彼の表情はいつもより真剣で、茶化すような雰囲気もない。
これは——
ただの確認じゃない。
祐介自身も、何かを確かめたがっている。
まりな「え、えっと……」 セリフ
言葉に詰まるまりな。
(今、ちゃんと伝えなきゃ——)
そう思って口を開きかけた、そのとき——
——ガシャン!!
校舎の窓ガラスが何かにぶつかり、激しく割れる音がした。
二人は一瞬にして緊張感を取り戻し、音がした方向を見る。
そこには——数人の不良たちがいた。
不良A「おい、さっきのコイツじゃねぇ?」 セリフ
不良の一人がまりなを指さす。
不良B「昨日、俺らのことジロジロ見てただろ?」 セリフ
(え……そんなつもりはなかったのに)
まりなの心臓が冷たくなる。
祐介はすぐにまりなの前に立ち、低く唸るように言った。
祐介「……で?」 セリフ
不良A「お? なんだお前、カッコつけてんの?」 セリフ
不良B「いやー、こういう奴ムカつくんだよな」 セリフ
不良たちは悪意を持って笑い、まりなに一歩近づこうとした——
——その瞬間、祐介が動いた。
祐介「……ふざけんな」 セリフ
低く、しかし鋭い声。
次の瞬間、祐介はまりなの手を掴み、力強く引き寄せた。
まりな「っ——」 セリフ
祐介「お前ら、こいつには指一本触れさせねぇよ」 セリフ
その言葉に、不良たちがピクリと動きを止める。
不良A「……チッ、なんだよ、めんどくせぇ」 セリフ
不良たちは舌打ちをしながら、結局その場を去っていった。
静寂が戻る。
〇 学校・校舎裏(夕方) 柱
まりな「……」 セリフ
まりなは、まだ祐介の腕の中にいた。
彼の鼓動が、すぐ近くで聞こえる。
祐介は少し息を荒げながらも、まりなを放そうとしなかった。
祐介「……まりな、お前さ……」 セリフ
まりな「……?」 セリフ
彼の声が、どこか震えている。
祐介「俺……昨日、お前のことを考えてたんだよ」 セリフ
まりな「……え?」 セリフ
まりなの胸がドクンと鳴る。
祐介「前世の記憶がどうとか、関係なく」 セリフ
祐介「俺は——」 セリフ
そう言いかけた祐介の目が、真っ直ぐにまりなを捉える。
祐介「……お前のことが、好きなんだと思う」 セリフ
まりな「!!」 セリフ
まりなの頭が一瞬、真っ白になった。
(い、今……何て……!?)
祐介「だから……もう、お前を放したくない」 セリフ
そう言いながら、祐介はまりなの手を強く握る。
まりなは、胸がいっぱいになって——
まりな「……私も……」 セリフ
そっと、彼の手を握り返した。
〇 帰り道(夜) 柱
その帰り道、まりなはぼんやりと祐介の言葉を思い返していた。
(祐介……好きって言った……よね)
夢みたいで、まだ信じられない。
(でも……これって、私たち、もう……)
付き合ってる、ってこと?
顔が真っ赤になり、まりなは両手で頬を押さえる。
そのとき——
祐介「おい」 セリフ
まりな「わっ!?」 セリフ
突然、祐介が隣に現れて、まりなは飛び上がった。
まりな「な、なに!?」 セリフ
祐介「いや、お前が急にニヤニヤしてたから……」 セリフ
まりな「し、してない!」 セリフ
祐介「……してた」 セリフ
まりな「……!」 セリフ
祐介の口元が、少しだけ緩む。
まりなの心が、またドキンと高鳴った。
この日——
二人の関係は、確かに変わり始めた。
——次話へ続く——