四季の守護者たちはとびきりに溺愛したがり。

 なんてチケットを遠目で見つめながら思考を巡らせていた時、スマホの向こうから《そうだ!》と跳ねた声が飛んできた。

《だったら陽依と同クラの桜賀君誘っちゃえば? デートしてきなよ、デート!》

「はいっ!? な、何でそんな話に……!」

《だって陽依、桜賀君と仲良いんでしょ? しかも日常的に桜賀君から慕われてるそうだし、これはデート一択! という事で、あたしに誘ってくれた日は朝9時半までは手空いてるし、陽依を可愛さマシマシにプロデュースしてあげるからちゃんと誘いなよ!》

「ちょ、ちょっとそれはっ――」

《そうと決まれば早速持っていくメイク道具の準備しなきゃっ! あっ、お風呂も沸いたみたいだから切るね! 何かあったらまた電話して〜!》

「天毬っ……!」

 って、切られちゃった……。

 ツーツーツーと無機質な音を聞きながら、相変わらず破天荒な天毬に溜め息を吐く。

 誘いなよって他人事みたいに……いや、天毬からしたら他人事なんだけど!

 それにわざわざ、で、デートなんて……。

「……伊春君、かぁ。」