四季の守護者たちはとびきりに溺愛したがり。

 私の呼びかけに、扉の近くにいるであろう天毬がか細い声で返事をしてくれる。

 だから急いで開けて中に入らせてもらうと、廊下で天毬がだらんと座っていた。

「天毬! とりあえず水分摂ろうっ? 飲める?」

「う、うん……ありがと、陽依……。」

「おでこにシート貼るよ、ちょっとひんやりするからね。」

 顔周りを触るとお父さんの比じゃないくらいの熱が伝わってきて、何枚も冷却シートを開ける。

 その間に水分を摂らせて予備の補水液を天毬の隣に置いた私は、申し訳なく思いながらもタオルを拝借した。

 ちょっと触っただけなのに汗がとんでもなくて、風邪を引かないようにせっせと天毬の腕や足を拭いていく。

「ごめんね、陽依……わざわざ来てもらっちゃって……」

「謝らないで。こんな暑いのに扇風機だけだったらこうなるよ、天毬は悪くない。」

 天毬はお母さんと二人暮らしで、あまり裕福なほうじゃない事を私は知っている。

 どうして片親なのかは7年一緒にいても教えてもらえてなくて、という事はそれは天毬にとってよっぽど知られたくない事なんだろう。