四季の守護者たちはとびきりに溺愛したがり。

「統治者Aの名のもと、時節再興の力を我に呼び与え……破綻し混迷する軸よ、世界の命のもと在るべき場に戻れ!」

 なけなしの記憶を頼りに教えてもらった言葉を唱えると、2つの指輪の装飾がぽうっと小さく光を発す。

 そして春休みのあの時のように周りに台風かというほどの風が吹き……瞬く間に静まった。

 こ、これでもう大丈夫、なんだよね……?

 今回は小さな異変だったから体で感じられる事が何もなくて、ちょっと心配になる。

 でも隣で既に制服姿に戻っていた千冬君が辺りを見回してから、呟くように教えてくれた。

「心配しなくてもちゃんと軸は戻ってる。枯れた花もこれで咲き直すはずだよ。」

「本当っ? それなら良かったぁ……。」

 花は季節を楽しむ為に欠かせないものだと思うから、元に戻るなら安心だ。

 ほっと息を吐いていると、千冬君が何かに気付いたように私のほうに手を伸ばして。

「主、ちょっとじっとしてて。」

「えっ……?」

 千冬君は迷わず私の頭に触れ、乗っかっていたらしい一枚の葉っぱを取ってくれた。