四季の守護者たちはとびきりに溺愛したがり。

 だけどそれじゃあ、早く千冬君が来てくれないと危ないんじゃ……。

「っ、秋君危ないっ……!」

 そんな不安に苛まれた瞬間、秋君の後ろで倒れ込んでいるフィアスコが前触れもなくムクッと起き上がった。

 みんなは確かに強いけど、隙を狙われれば誰でも危ない。

 だから咄嗟に叫ぶと、私の声に呼応するようにさっきの比にならないほどのフィアスコの咆哮と共に、湖畔に反響するような冷静な口調が耳に入った。

「主、待たせてごめん。目障りなフィアスコはとりあえず始末したから……主の能力使って、さっさと軸を元に戻そう。」

「う、うん! 分かったっ!」

 サーベルを掲げながら宙を舞って登場したのは例に漏れず軍服を着ている千冬君で、みんなと違って前で留めるタイプの外套を羽織っている。

 ネクタイや外套の裏地の色は白で統一されていて、制帽には秋君の言ってたようにスペードの紋章が描かれていた。

 千冬君は私の隣に着地するとすぐに指輪を差し出してくれて、私も急いで装飾を重ねる。

 えっと……間違ってなきゃ、こうだよね!