四季の守護者たちはとびきりに溺愛したがり。

 どうして私が統治者としての力を使えるのかも分かってないのに、そう言われても困ってしまう。

 スマホがなきゃ連絡もできないし、フィアスコって案外頭脳派……?

 なんて悠長に考察をしていると、その隙を突かれてフィアスコが勢いよく私に飛んで距離を縮めてきた。

 身を屈めて避けようとするけど、フィアスコに対する恐怖心のせいで体が上手く動かなくて。

 ……っ、間に合わない!

「“アビリティアンロック”。」

 強く思った直後、頭上から唱えるような落ち着いた声が降ってきた。

 同時に『グワァッ……!!』というフィアスコの苦しそうな叫びが辺り一面に響き、体制を崩してフィアスコが倒れ込む。

 それに続くように軽い足取りで私の前に姿を見せたのは……あの時の伊春君たちと同じように、カッチリした軍服を身に纏っている秋君。

「遅くなって申し訳ありません、主様。他のフィアスコの対処に手間取っておりました。」

 涼し気な表情でサーベルを握っている秋君は、私に視線を移すとにこっと微笑んでくれる。

 秋君は伊春君たちとはまた違い、制帽の紋章はかっこいいハート、ネクタイや外套の裏地の色はラベンダーのような紫。