四季の守護者たちはとびきりに溺愛したがり。

 そんなに私が危なっかしく見えるのかな……うぅっ、それはそれで心外だっ。

 心配してくれるのは嬉しいけど、そこまで気にかけなくてもいいのに。

 まだまだ明るい帰路を小さな溜め息と同時に視線を上げると……ふと、足が止まった。

「……、え?」

 理由は単純。私の目先に凛々しく、花公園の中心にそびえ立っているはずの一本桜が――全て枯れていたから。

 葉っぱもほとんど足元に落ちていて、心臓が嫌な音を立て始めたのが分かる。

「な、何で枯れてっ……まだ葉桜のはずなのに……。」

 錯覚かと思って目を何度も擦るも、桜が生気を取り戻す気配はない。

 それどころか……桜だけじゃなく、この公園に咲く全ての花がおかしいくらいに枯れていた。

 まるで冬によく見る、咲く役目を終えたような感じで……。

『トーチシャノチカラノケハイ! トーチシャツカマエル!』

「っ!」

 呆然と桜を見上げていると、背後から聞き覚えのある甲高い声が聞こえてきた。

 反射的に距離を取ってから振り返ると、落ちていた桜の枝を咥えて近付いてくる大きなカラスみたいな姿のフィアスコが。