四季の守護者たちはとびきりに溺愛したがり。

　それに主様って呼ばれるの、結構むず痒いし……あはは。

　私も私で色々考えて胸中で苦笑を零していると、ようやく決意を固めたのか伊春君が気恥ずかしそうに控えめに微笑んだ。

「それでは恐縮ではありますが……これからは緩めで喋るね、陽依。」

「……っ、う、うん！」

　――その瞬間、心臓が異様に跳ねた感覚がした。

　ただ名前を呼ばれただけなのに、顔に熱が集中して無意識の内に伊春君から目を逸らしてしまう。

　……改めて呼ばれると、ちょっと恥ずかしいかも。

　照れてる伊春君の気持ちが分かったような気持ちになって、何とも言い難い空気が私たちの間に流れる。

「あっ！　伊春っちが抜け駆けしてるーっ！」

　そんな空気を破ったのは、予想がつきやすい他でもない夏生君の声。

　反射的に声のしたほうを向くと夏生君が怒ったような顔をしながら走ってきて、私に飛びつこうとしてきた。

「俺だって陽依っちと話したいのに伊春っちだけずりぃぞ！」

「ずるくないです。というか夏生は本当に守護者の自覚があるんですか？　主である陽依に飛びつくなんて言語道断です。」