四季の守護者たちはとびきりに溺愛したがり。

 初日からイケメンすぎて人気な桜賀君としがない女子中学生の私じゃ釣り合わないのは明白で、逃げながら一心に願った。



「申し訳ありません主様、ここまで走らせてしまって。道中お怪我などされませんでしたか?」

「う、うんっ。何とか大丈夫……。」

 伊春君セレクトの人目につかない場所は、あまり利用される事のない裏門だった。

 そもそも正面の門から入らないと怒られるから、鍵はかかってないけど利用者が少ない裏門は確かに人目につかない。

 結構走ったから呼吸が荒れている私を心配そうに見つめる伊春君に、額の汗を拭いつつ笑顔を浮かべる。

 まさか伊春君がこうも大胆な事をするとは思ってなかったから、ちょっとまだびっくりしてるけど……。

 でもこれで、周りを気にせずに話す事ができる。

 ほっと安堵していると、伊春君が心配そうな表情のまま私の顔を覗き込んできた。

「主様、体調なども大丈夫でしょうか? 先程暗いお顔をされていたので、少し心配で……。」

 暗い顔……って、どう逃げ出そうかって考えてた時の表情かな。体調悪そうに見えてたなんて、どれだけ難しい顔してたんだろ……。