四季の守護者たちはとびきりに溺愛したがり。

 人の恨みが怖いのは小学生の頃から何となく知ってるし、軽率に目の敵にされるような事はしたくない。

 だけど悩んでいる間にもギャラリーは増えてきていて、逃げ出すのがますます難しくなっていく。

 本当にどうしよう……そう考え込んで唇を噛み締めた、その時。

「っ、え……?」

「私、人が多いところは少し苦手なので一緒に逃げましょう。主様、失礼しますね。」

 不意に、バッグを持ってないほうの手を優しく握られたと思うと。

 引き寄せられるよう丁寧に腕を引かれ、教室を飛び出す瞬間緩やかに目を細める伊春君と目が合った。

 そのおかげでまたもや注目の的になってしまい、廊下を走っていると女の子たちのキャーッ!という黄色い悲鳴が追いかけてくる。

「桜賀君リアル王子すぎる! あんなイケメンがいていいのか……?」

「四季宮さん羨ましい〜! でも四季宮さんも可愛いからお似合いだよねっ!」

「あれはてぇてぇ。間違いなくてぇてぇ。」

 何を言われてるかまでは聞こえないけど、悪口とか言われてないといいな……。