四季の守護者たちはとびきりに溺愛したがり。

 爽やかで柔らかい笑顔を浮かべて、まるで執事のように頭を下げた伊春君により女の子たちの気持ちが高ぶる。

 本当に小さいけどそこかしこから歓声のような声が飛んできて、流石伊春君……と妙に感心してしまう。

 出会った時からそういう人なのかなと思っていたけど、伊春君はやっぱり誰にでもあんな態度なんだ。

 でもそこが伊春君らしいというか……って、上から言える立場でもないけどっ。

「ありがとう桜賀君。それじゃあ桜賀君の席は……あそこだね。」

「はい。皆様、これからよろしくお願いしますね。」

 席に向かう前、もう一度会釈をした伊春君。

 そんな彼にほとんどの女の子はノックアウトされてしまったのか、ほぅ……と息を吐いているのが分かった。

 編入始めからこうも人気になると、今後も大変そうだ……。

 なんて他人事のように苦笑いしていると、伊春君が先生に教えられた席に座る直前。

「同じクラスになれて嬉しいです、主様。学校でもよろしくお願いします。」

 彼の席はどうやら、私の前みたいで。

 椅子を引きながら伊春君はそう言い、何事もなく席に着く。